近長谷寺 高さ6.6メートルの長谷寺式十一面観音像【三重】
- 2012/02/26
- 20:00
三重 近長谷寺
三重県多気郡、城山の山中に長谷寺式の十一面観音を祀った近長谷寺がある。 訪れた2月18日は初観音の日であり、先に玉城町の田宮寺を訪れたあと、 西に見える城山に向かって車を走らせた。 近長谷寺へは麓の長谷地区から山道を車で登り、さらに駐車場から200mほど登ったところにある。 道は舗装されているものの、雨の日や雪の日は傾斜が急なので足元に注意してほしい。 この日は昼前には止んだが午前中に降った雪で、凍った坂を登るのには苦労した。 ![]() |
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近長谷寺 | |||
近長谷寺は仁和元年(885年)に伊勢の国の豪族飯高氏が内外の近親などに勧進して建立され、もとは尾根の下の谷筋にあったものが、洪水や山崩れなどにより元禄年間に今の場所に移った。 これらのことは寺宝として伝わる平安時代の「近長谷寺資材帳」に詳記されている。 これは平安時代における南伊勢の土地の様子を知るうえでの手がかりとなる唯一の資料である。 ちなみに近長谷寺の「近」とは伊勢の皇大神宮(通称:内宮)に近いということで近の一字を 加えて「近長谷寺」としたようである。 ![]() |
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近長谷寺 本堂 | |||
急な山道を15分ほど上ると正面に本堂が現れ、空が開けた。 午後から火渡りや餅まきがあるということで多くの人で賑わい山里らしい祭りの風景が広がっている。 ![]() ![]() |
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近長谷寺 十一面観音立像 | |||
本尊は長谷寺式の大きな十一面観音像で高さは6.6メートル。 ほとんど直立の形をした寄木造。下半身の着衣である裳は左右対称で、左手は錫杖を持つのではなく添えただけの形となっている。 その姿は見上げるように大きく、幅の広い豊かな顔や腰回りは、厚みがあり迫力に富んでいる。 表情は母親のような温かみのある表情をしていて、山里の守り神のように雄大であった。 ![]() ![]() |
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近長谷寺 大日如来坐像 | |||
抹茶席として使用されていた客殿には金剛界大日如来坐像が安置されている。 口元はへの字に結び、肉付きの良い頬をした姿だ。こちらの像は、今回のように例大祭 の時でないと開いていないので、事前にお願いすれば拝見することが出来る。 ![]() |
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近長谷寺 | |||
麓の長谷地区はかつて近長谷寺の門前町として標高300mほどの城山山上にあったという。 さらに、この寺より7~8分登った山頂付近には、城跡が残り近津長谷城という中世の城郭が あったと伝えられていて、築城年数は定かではないが南北朝時代のものだという。 今は無住で麓の神宮寺の住職が兼務されているが、これだけ大きな観音像を安置し、 さらに城も抱えていたのだから、門前町としても大きく栄えたことだろう。 今はひっそりとした山里で、その面影は残っていないが、 この日は年に一度の例大祭ということもあり駐車場は溢れるくらい 多くの人で賑わっていた。 今回、近長谷寺まで一緒に歩いた人が長谷の隣町の人で、行き交う人ほとんどが 知り合いのようで何度となく挨拶を交わしていた。地域をあげての例大祭は、 五穀豊穣や無病息災といった祈願だけではなくそこに住まう人と人とをつなげる 大切な役割を果たしている。 法要は神宮寺が行うのであるが、 日常のお堂の管理は地域おこしグループの「一八会」がされている。 「一八会」はこの長谷の地区の人間たちが集うグループで伝統文化の継承、発展のために 活動されていて、日曜と祭日、毎月18日は彼らがお堂にいらっしゃるので 観音様を拝することが出来る。 近長谷寺HP:http://www.ma.mctv.ne.jp/~jr2uat/temple/hase.htm 所在地:三重県多気郡多気町長谷202 JR「名古屋」駅からJR関西本線亀山行き「亀山」駅にてJR紀勢本線鳥羽行きに乗換、 「多気」駅にてJR参宮線新宮行きに乗換、「佐奈」駅よりタクシーで約30分 公開:日曜、祭日、毎月18日は終日可能(午前10時頃~午後3時頃)、 12月31日は午後9時~翌朝2時頃まで、その他の日は要予約 拝観料:志納 その他詳細情報は仏像ワンダーランドHPへ>>
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参拝日:2012/02/18 |
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