常楽寺・長寿寺 濃く深く拡がる仏像空間【滋賀】
- 2011/03/02
- 16:34
常楽寺・長寿寺
善水寺からスタートした湖南三山巡り。 善水寺から西に車で30分、次の目的地は東大寺の初代別当良弁僧正が建立と 伝えられている常楽寺に到着した。 調べたところ、こちらのご住職は他の寺院の住職も兼務されているため、 拝観の際は電話で予約する必要があるということだったので、急遽出発の前日に 連絡をすると、幸運にもその日はお寺にいるらしく快諾いただいた。 普段は時間なども告げなければならないような感じであった。 境内でまず目に飛び込んでくるのは、なにやら物々しい柵の数々。 受付にいらっしゃった住職にお話を聞いたところ、留守にしてしまうことがあるため、 国宝指定の三重塔や本堂の保全のために警備会社を入れて厳重に管理しているのだとか。 拝観料を払い境内に入ると善水寺と同じく桧皮葺の本堂と左奥には 三重塔が建っている。 ![]() | ||||
常楽寺 三重塔 | ||||
本堂は善水寺よりも奥行きが1間分多い7間×6間の構造。 南北朝時代に再建された入母屋造りで、今では非公開の三重塔と共に、 国宝に指定されている。 ![]() | ||||
常楽寺 本堂 | ||||
古い近江の書籍では、この寺の三重塔には阿弥陀如来が安置され、 内部の色彩は色鮮やかに残り室町時代に建立された当時の面影を残している… そう書かれていた。 しかしそれも昔の話。その後は無住の寺となり、三重塔は開扉していたので、 管理状態が悪く、当時の色彩は失われ今では赤外線でないと見ることが出来ない程の悲惨な状況だという。 しかし、本堂内は無住の時代があったとは思えないくらい仏像が数多く安置され、 中でも心惹かれたのが70cm程と小さいが二十八部衆と風神雷神。 二十八部衆とは、この寺の本尊である秘仏千手観音の眷属(取り巻き)で 京都の三十三間堂では、千手観音の前に並ぶ像がそれである。 その姿はどれも鎌倉期らしい表情豊かなお顔と、 今にも動き出しそうな姿。 お厨子に入った千手観音を挟むように左右15躰ずつ、 3段の須弥壇に安置されている。 しかし、残念ながら二十八部衆の一体と、 風神は盗難にあい堂内にはない。 無住であったため盗難の被害にあったのだとか。 仏像が好きな方ならきっと、興奮すること間違い無しの 濃度の濃い仏像空間が拡がっていた。 常楽寺から車で10分もしない距離に、湖南三山のひとつ長寿寺がある。 長寿寺を東寺(ひがしでら)、常楽寺を西寺(にしでら)と呼び、寺伝には 常楽寺と同じく良弁僧正が建立したと伝えられている。 ![]() | ||||
長寿寺 山門 | ||||
大きくでっぷりとした桧皮葺の傘をかぶった華奢な山門をくぐると、 本堂までは一直線。 こちらのお寺も1月から3月までは拝観予約が必要なため、 2時に予約したところ、ご住職の奥様が門前で待っていてくださった。 こちらも本堂は国宝に指定されており、善水寺、常楽寺より古い鎌倉時代に 再建された桧皮葺のお堂で、この境内に存在した三重塔は織田信長により 安土城山中の摠見寺に移築されている。 ![]() | ||||
長寿寺 本堂 | ||||
本堂の鍵を開けて下さり、中に入ると他の二ヵ寺で拝見した十二神将や 二十八部衆といった眷属はいないものの、秘仏本尊の子安地蔵の両脇には 左に平安期の釈迦如来、右に阿弥陀如来が並び、 本堂を出た右手の収蔵庫には、丈六の阿弥陀如来坐像が安置されている。 収蔵庫でこの旅最後となる仏像が丈六の阿弥陀様だったというのは なんとも嬉しいこと。この阿弥陀如来坐像は藤原期(平安後期)の作で 頬がふっくらした柔らかな表情の仏さま。 善水寺、常楽寺、長寿寺と国宝本堂をもつ湖南三山。 仏像を拝見するということで考えるなら湖東三山よりも 充実した見仏旅行になるはずです。 常楽寺HP:http://www.eonet.ne.jp/~jo-rakuji/ 所在地:滋賀県湖南市西寺6丁目5-1 電車:JR草津線「石部」駅下車、バスで「西寺」下車徒歩3分 拝観時間:9:00~17:00(12月から2月までは16:00まで) 拝観料:500円 休み:ナシ その他詳細情報は仏像ワンダーランドHPへ>>
大きな地図で見る 長寿寺HP:ナシ 所在地:滋賀県湖南市東寺5丁目1-11 JR草津線「石部」駅下車、バスで「長寿寺」下車 拝観時間:9:00~16:00 拝観料:500円 休み:ナシ その他詳細情報は仏像ワンダーランドHPへ>>
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参拝日:2011/02/23 |
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