大円寺(高月観音堂) 駅から徒歩5分の美麗な千手観音【滋賀】
- 2011/10/06
- 21:00
滋賀湖北 大円寺(高月観音堂)
湖北の高月町には国宝に指定された渡岸寺観音堂の十一面観音に代表されるように 観音の里の中心地であり往古より神聖な場所と崇められていた。 この地の人から高月観音と崇められている観音様は、曹洞宗の名刹、大円寺の観音堂に安置されている木造の千手観音像をいう。 ガイドマップなどを調べるなら高月観音堂と言った方が分かりやすいかもしれない。 ここへは高月駅から徒歩3分、渡岸寺観音堂から徒歩10分という立地にありバスや徒歩での移動ならばぜひコースに入れてほしい。 ![]() |
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大円寺(高月観音堂) | |||
延暦六年(787)、伝教大師最澄はこの地に滞在して千手観音像を彫刻し、七堂伽藍を建立し寺勢は大きく隆盛した。 その後、戦国時代に入るとこの湖北地方は交通の要所であるために主戦場となり、度重なる兵火のため老廃し、天正十一年(1583)の賤ヶ岳(しずがたけ)の合戦の際には、伽藍のことごとくは焼失してしまった。しかし不思議なことに大円寺の観音堂にあった観音像は、自ら火難を逃れて、東方に半町余歩離れた石の上に立ち、美しく光り輝いていたという。 ![]() |
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大円寺(高月観音堂) 観音堂 | |||
その翌年、観音様の夢のお告げを受けた村人が新たに一堂を再建し、千手観音を安置した現在の形となったのである。 ![]() |
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大円寺(高月観音堂) 弁財天像 | |||
現在、大円寺の本堂には本尊千手観音像だけでなく、両側に弁財天、薬師三尊、毘沙門天、 不動明王像、地蔵菩薩像など多くの仏像が安置されている。これらの仏像はこの大円寺のものばかりでなく、毘沙門天像はもともと村内にあった天台宗円通寺のご本尊と言われ、京都鞍馬寺の毘沙門天像の分身とも言われている。 また、薬師三尊像は栗原坊のご本尊と伝えられている。 ![]() |
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大円寺(高月観音堂) | |||
本尊の千手観音立像は、国宝や重文の指定は受けていないがとても肉感的で迫力のある姿で像高は154.2cm。室町時代の作だと伝わる。金泊の張られた厨子の中で拝見すると身体も黄金色に輝いているように感じるがこれはその昔、本尊が黒ずんでいたのを不憫に思った村の人がその体を拭きこのように木肌の見えた状態にしてしまったのだという。 ![]() |
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大円寺(高月観音堂) 観音堂 | |||
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大円寺(高月観音堂) 千手観音立像 | |||
修理所などのしっかりとした機関での修理ではないため、国宝や重要文化財には指定されなく なってしまったと世話型の方は残念そうに話してくれたが、それでもこの像容のもつ美しさは 今の姿でも充分に魅力的だ。 ![]() |
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大円寺(高月観音堂) 千手観音立像 | |||
他にも仏像として釈迦苦行像を持っているが、現在は高月観音の里資料館に安置されている。 この資料館は渡岸寺観音堂の東隣なので、あわせて見学するとよい。 ![]() |
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大円寺(高月観音堂) | |||
また、大円寺には古い絵馬がいくつも掛けられており、その中でも寛永十七年(1640)九月に奉納された湖北地方最大の繋馬図がある。金箔を貼った板地に一頭の黒馬を描いている。 絵馬の大多数は日照祈願の白馬を描くのが馬図であるが、ここでは黒い馬。 黒馬が雨雲に似ている事から雨乞いを祈願したものである。 ![]() |
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大円寺(高月観音堂) | |||
先に訪れた水に恵まれた高月町井口の理覚院はここから僅か2~3キロの距離。 高取川も直ぐそこであるこの地が水に悩まされていたのである。 これは土豪井口家が水利を得ていたためで、高取川の水をせき止め小谷城へと流していたためだという。これにより高取川の西にあるこの村には水が来ることがなく人々は井落としといい水を開けるよう白装束を着て井口へとお願いしに行った。申し伝えると毎度意見は通りせき止めていた水を大円寺の方へと流してくれるのであるが、その村人が見えなくなると井口の方では井を閉じてしまう。その為に、白装束を来た村人たちは少しでも多くの水を村に送るため、井が閉じられないようにゆっくりゆっくりと歩いて帰ってきたのだという。 この黒馬はもしかすると川の水に頼らずとも生活できるように定期的に雨が振るようにとの村人たちの祈りなのかもしれない。こういった湖北の風土は僅か数百メートルの土地で繋がるのがとても面白い。 この後は、世話方さんの都合もありもう一度、井口へと戻る。 目的地は理覚院から北に少し行った先の円満寺だ。水を求めに歩いた村人たちと同じ道を通るかもしれない。 大円寺(高月観音堂)HP:ナシ 所在地:滋賀県長浜市高月町高月4番地 JR北陸本線「高月」駅下車 徒歩5分 拝観時間:午前9:00~午後4:00 拝観料:200円 その他詳細情報は仏像ワンダーランドHPへ>>
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参拝日:2010/09/29 |
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